稼ぐために働く

初めて働いてお金をもらったのは高校も終わりかけの頃だ。
私が通ってた高校はアルバイトは禁止だったから、お小遣いを稼ぐということはできなかった。人よりも1ヶ月ほど早く進学先が決まったから卒業式まで時間があった私は父の紹介でアルバイトをすることになった。
選挙事務所でのアルバイトである。
働き方も知らないし、どうすることが働くことかもわからない。ただ、言われたことを遂行するだけだ。
日中事務所には誰もいない。することがなければ一日ボーッと時間をつぶしているだけだ。選挙当時の日まで、時間をつぶす毎日が始まった。
時には電話をかけたり、葉書を書いたり。それ以外に何をしていたかもう覚えていないけれど、雇った人も私に何かをしてもらう期待はなかったであろう。
父親の知り合いだったから、仕方なく雇ってもらえたのか、どうか。
それでも無事勤めを果たし、1ヶ月働いた分の給料をもらった。
初めての給料で買ったものは、コンタクトレンズであったと記憶している。後は何に使ったのか全く覚えていない。
働くことも慣れてくれば、いちいち指図されなくても、自分で動けるようになる。それまでは言われたままに動く、まるでロボットのようだ。
ロボットと違うのは、言われたことだけをするのではなく、どうしたら効率よく働くことができるのか、考える頭があることだ。体を動かすだけではなく、頭を働かせる。頭を使うことで、働くことに慣れ、手際よく動けるようになるのだ。
仕事の分野は違えど、覚えていくということはそういうことであろう。
勉強漬けの毎日から解放されて、新しく働くことを覚えたのはそのときのこと。大学に進学した後は、勉強するよりも、日々の生活費を稼ぐために、アルバイトに精を出していた私。
今でも生活のため、毎日あくせく働く日々であるけれど、私の場合は決して働くことは嫌いじゃない。